病院頼らず、診療所同士の連携を~神奈川・横須賀市内の開業医ら

 「診られないと思った患者を病院に紹介するのでなく、診療所で紹介し合うネットワークを作ろう」。診療所同士の連携を深めるため、13日、神奈川県横須賀市内の開業医やコメディカルが集まりました。呼びかけ人の中島茂医師(中島内科クリニック院長)は「診療所は何かあったら病院に紹介するが、他の診療所で十分診られる患者さんもいます。患者が病院に集中することも防げるので、病院の疲弊も防げます」と話しました。

 「診療所同士がお互いを知らないから、紹介できないのです。だから、まずお互いを知り合う場を持つため、会を始めました。こういうことをやっているところはあまりないと思います」と中島医師。

 

 なるほどなあ、と思いました。専門的な治療や、特別な検査機器などを要する患者が受診した場合、大体の診療所は病院に紹介します。しかし、中には別の診療所で十分対応な患者もいます。診療所同士がお互いを知っていれば紹介できるのに、そうでないため、できないということなのです。

 

 患者としても、診療所に紹介される方が、遠くまで行かなくてすむ場合もありますし、待ち時間も病院ほど負担になりません。病院に紹介されると、予約がいっぱいですぐに診てもらえないこともあります。

 

 病院側も、対応可能な患者は診療所に診てもらった方が、専門的な医療を行う外来や、病棟に集中できます。患者の集中を緩和すれば、ゆっくり診療できます。

 

 

     ■             ■             ■            ■

 

 

 この日は、中島クリニックの近隣の開業医とコメディカル32人が集まりました。中には歯科医や獣医も。専門領域などを自己紹介し、症例検討や、普段の診療における悩みなどを共有。精神面のフォローの必要な糖尿病患者のケースについて精神科医が意見する場面もあり、中島医師は「内科と精神科の医師の考え方は違います。普段ない交流になりました。ここはよくある勉強会とは違う会にしたいのです」と話します。

 

 あれ、医師会はもともとそういう場じゃなかったんだっけ? と思いましたが、中島医師によると、医師会は「交流」というよりも、年齢層の高い医師の話を若手医師が黙って聞いている雰囲気とのこと。お互いの専門などを知り合う機会にはなっていないということでした。

 

 ”医療崩壊”が叫ばれるようになり、病院への患者集中、勤務医の過重労働などが話題になりました。「なんでも病院に送る」という考え方を改めて、可能な患者は診療所で診る、というのは一つの方向性かもしれません。

 

 中島医師は、今後1,2か月に一度会を開き、趣旨に賛同する医師らに呼びけかけていくと話しています。